Calling 第12話 後悔 -1-

 

 

――二週間後。

 

「イズミ、明日暇?」

休憩時間、織田ちゃんが何やら明日は暇かと訊いてきた。

 

明日は日曜日。

けど、誰かと遊ぶ予定は入っていない。

 

「今んトコ、暇だけど?」

 

「明日、テニス部の試合があるんだけど応援に来てよ?」

 

「はぁ〜?」

 

「どーせ、暇なんでしょ?」

 

「いや、まぁ、そーだけど……」

(何故、俺がテニス部の応援なんかに? あ、でも、待てよ……)

テニス部の試合という事は小峯もきっといるはずだ。

試合には出ないかもしれないけれど、それはそれでいい。

 

「考えとくよ」

……なーんて、ホントはもう行く気満々。

 

「んじゃ、時間と場所、後でメールで送っとく」

 

「うん」

シゲと小峯が別れてから俺も彼女とは顔を合わしていなかった。

テニスコートに態とボールを蹴り入れるのも、そうそう頻繁に使える手じゃないし。

部活帰りに駅のホームで彼女を待ってみたりした事もあるけれど、

タイミングが合わず一緒に帰る事が出来なかった。

 

 

     ◆  ◆  ◆

 

 

そして翌日、日曜日――。

 

織田ちゃんとの約束通り、俺は女子テニス部の試合の応援に行った。

ちなみにこの日は男子テニス部の試合も同じ会場である。

 

「織田ちゃん」

十二時半過ぎ。

試合会場に着くとすぐにうちの高校のテニス部の連中を見つけることが出来た。

 

「イズミ、来てくれたんだ? ありがとー♪」

 

「暇人だからな」

(ホントは小峯に会いたくてだけど)

 

その小峯はというと、他の一年生の部員達と一緒にいた。

一年生は何かと忙しい。

こういった試合の時とかは特に。

いろんな雑用があるから。

だから俺は敢えて彼女に声は掛けなかった。

 

「高津君は? 今日は一緒じゃないの?」

 

「あー、シゲには今日の事言ってない。小峯の事もあるからまだ顔を合わせるの

 気まずいんじゃないかと思って」

 

「うん……そうだね」

シゲと小峯が別れた事は織田ちゃんも知っていた。

小峯本人から聞いたみたいだ。

 

「次の試合、何時から?」

「十三時から」

「んじゃ、もうすぐだな」

「うん」

「なんか余裕だな?」

「だって、次の試合はあたしじゃないもん」

「誰?」

「鈴ちゃん」

 

(なにぃっ!?)

 

「小峯、出るのか?」

(一年生なのに、よく出られたなー)

 

「出場予定だった子が怪我しちゃってね、数日前に急遽出る事になったの」

 

「ふーん」

そういえば織田ちゃんの後ろに腕を怪我した女の子がいる。

(あの子の代わりかな?)

 

小峯の方をちらりと見ると意外にも落ち着いていて、黙々とストレッチをしながら

アップに入っていた。

 

(小峯、頑張れよ)

 

「て、ところで織田ちゃんの試合は?」

 

「一回戦で負けちゃった♪」

織田ちゃんはそう言うとぺろりと舌を出して「てへっ♪」と笑った。

 

「……おい」

「もぉー、イズミが早く来ないからー」

「俺の所為かよっ」

「そうじゃないけど、朝から来るものだと思ってたから」

「いや、いくら暇人でも日曜日くらいはゆっくり寝たいし」

「お父さんみたい」

「……」

「でも、イズミ、来た意味なくなっちゃったね?」

「いいよ、別に。暇人だし」

(それに元々、小峯に会いたかったからだし)

 

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