Calling 第14話 すれ違う想い -2-

 

 

織田先輩の怒鳴り声が聞こえ、顔を上げると和泉沢先輩がサッカーボールを取りに来ていた。

 

(あ〜ぁ……今日は和泉沢先輩のボール拾えなかったな……)

そして、何を話しているか気になっていると、ちょうど織田先輩達の近くに

テニスボールが転がっていた。

二人に近づくようにそのボールを拾いに行くとちょっとだけ会話が聞こえた。

 

「イズミってわりと古典的な手段を使う人だったんだねー?」

 

「だから、気のせいだってば。次からは気をつけるよ」

 

「まぁ……別にいいけど」

織田先輩はボソッと呟くように言うと、サッカーボールを高めに放り投げた。

和泉沢先輩はそのボールを右足でポンとリフティングで受けると、

織田先輩にバイバイと手を振って踵を返した。

 

(和泉沢先輩と織田先輩、仲良いな……)

私は和泉沢先輩がサッカーボールをわざわざ取りに来るのはきっと織田先輩の事が

好きだからなんだと思っている。

だって、普通は球拾いしている一年生のサッカー部員が拾いに来るはずだ。

現に他の先輩が蹴ったボールがこっちに飛んできた時は一年生が取りに来てるし。

 

そして、織田先輩も多分、和泉沢先輩の事が好きなんだと思う。

グラウンドに戻って行く和泉沢先輩の背中をずっと見つめていたから。

 

「ハァー……」

溜め息が出てきた。

和泉沢先輩と織田先輩は同じクラスで席も隣同士。

いつも一緒にいて仲も良い。

私はと言うと和泉沢先輩がボールを取りに来た時か、帰りが一緒にならない限り

まともに顔を合わせる事もない。

織田先輩は身長もそれなりにあるし、スタイルもいい。

だから背が高い和泉沢先輩と並んでいるところを見るとホントにお似合いなんだよね……。

 

それに比べて私は毎日牛乳も飲んでいるのに身長は155cmもないし、胸だってAカップ。

同じ“女の子”というカテゴリなのに私と織田先輩じゃどうしてこんなにも違うのか?

 

(男の子なら誰でもみんな織田先輩みたいな女の子の方がいいんだろうなぁー)

 

 

     ◆  ◆  ◆

 

 

――翌日。

 

雨が降っていた。

 

真夜中から降り始めた雨は段々と激しさを増して、午後になってもまったく止む様子もなかった。

そんな訳で今日は部活もなくなった。

 

(サッカー部も今日はお休みかな?)

教室の窓からグラウンドを見ると、土砂降りの雨の所為でとても使える状態じゃなかった。

 

だから“もしかしたら和泉沢先輩と帰りが一緒になるかも?”そんな淡い期待を抱きながら

学校を出ると、目の前を和泉沢先輩と織田先輩が並んで歩いていた。

 

「……」

私は思わず歩く速度を落として二人と距離をとった――。

 

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