Calling 第27話 変化 -1-

 

 

部活が終わった後、私はまた部室棟の前で待ち合わせをするようになった。

でも、その相手は高津先輩から和泉沢先輩に変わった。

 

「鈴」

そして、和泉沢先輩が私を呼ぶ時も“小峯”から“鈴”に変わった。

“ただの先輩”から“彼氏”に変わったから。

 

私は相変わらず“先輩”と呼んでいるけれど。

 

「待った?」

 

「いえ、私もさっき来たばっかりです」

 

「そか」

和泉沢先輩はそう言うと私の手を軽く握った。

私がその手を握り返すと先輩もまた優しく握り返してきた。

 

すごくドキドキしていた。

 

……というか、ボーッとしていた。

 

「そういえば、鈴、昼休憩に俺の教室に来たんだって?」

 

「えっ? あ、はい」

だから先輩にそう訊かれてちょっと慌てた。

 

「昨日は結局、無断で部活を休んじゃったから……」

 

「あー、それで織田ちゃんのところに?」

 

「はい」

 

「なーんだ、俺に逢いに来てくれたんじゃなかったのかー」

 

「逢いたかったですけど、先輩居なかったじゃないですかー」

 

「……あ」

 

「どこ行ってたんですか?」

 

「……シゲんトコ」

 

(え……)

 

「一応、俺達の事、ちゃんと話しておいた方がいいと思って」

 

「……何か、言われました?」

 

「シバくって言われた」

 

「えっ!?」

(そ、それって……)

 

「先輩、どこか殴られたんですか? 大丈夫ですかっ?」

先輩の顔には殴られた様な痕はないけれど、どこか他のところを殴られたのかもしれないと思った。

 

「大丈夫、大丈夫」

そう言って先輩は笑っているけれど……、

 

「で、でも……」

 

「『鈴の事、泣かせたりしたらシバく』って言われただけだから、殴られてはないよ」

 

「へ……?」

 

「びっくりした?」

和泉沢先輩は悪戯っぽい目で私の顔を覗き込んだ。

 

「もぉ〜っ、先輩の意地悪っ」

(本気で心配したのにぃー)

 

「あはは、ごめん、ごめん」

私が怒ったように言うと和泉沢先輩はケラケラと笑いながら私の頭をポンポンと撫でた。

 

「逆にシゲは応援してくれてた。鈴に『他に好きな人がいる』って言われた時も、

 それが俺の事だってわかってたんだって」

 

(そっか……、だから高津先輩、あの時……)

 

“鈴がそいつの事、好きなら仕方ない……これからは陰ながら応援するよ”

 

高津先輩と別れたあの日、泣きながら謝るだけしか出来なかった私にそう言ってくれた。

その時は、ただすんなり別れられる様に言ってくれただけだと思っていた。

 

でも、高津先輩は本当に私の事も和泉沢先輩の事も応援しててくれたんだ――。

 

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