Calling 第38話 偶然と勘違い -2-

 

 

(何故? どうして? なんで鈴が?)

 

「いくら喧嘩したからって当て付けみたいにあんな中学生みたいな子と

 遊ぶことないのにぃー」

美香さんは怪訝な顔で彼氏と鈴を見つめて……いや、睨んでいた。

 

(中学生じゃなくて高校生なんだけどな……て、そんなコトはどうでもいいか)

 

「もしかして、もう新しい女を見つけたとか?」

 

「いやいや、それはないでしょ」

だって相手の女の子は俺の“彼女”なんだし。

それにだいたい喧嘩したと言ってもまだ別れた訳じゃないのに。

 

「そんなに心配なら確かめてみればいいんじゃないっすか?」

 

「えー、どうやって?」

 

「フツーに声を掛ける」

美夏さんの彼氏と鈴がどうして一緒にいるのか気になるし、

美夏さんの誤解を解く為にも俺は二人がいるブランド店に向かって歩き始めた。

 

「ちょ、ちょっと……大地君っ!?」

「まぁまぁ、黙って付いて来て♪」

「声掛けるって、一体なんて?」

「いや、だからフツーに」

「“フツー”て何よぉ〜?」

「そりゃ、まぁ『よぉ』とか、『やぁ』とか」

「はぁ〜っ?」

「じゃ、このまま遠くから眺めて悶々してる?」

ピタリと足を止めて振り向く。

 

「も、悶々て……」

すると美夏さんも立ち止まって彼氏と鈴がいる方にちらりと目をやった。

 

「だって、悶々としてたよー?」

 

「う……で、でも、ちょっとだけ心の準備をさせて。

 だって、声を掛けて本当に新恋人とかだったりしたら……立ち直れないから」

 

「大丈夫だと思うよー?」

 

「もぉっ、他人事だと思ってー」

 

いや、俺にとっても全然他人事なんかじゃないんだけどな。

だって、ねぇ?

 

ここであっさり『一緒にいる可愛い子は俺の彼女だよ』とバラしてもよかったのだが、

プレゼント選びに付き合わせている“罰”として、もう少し黙っている事にした。

 

 

「……よ、よしっ、行こうっ」

しばらくして美夏さんは両手に握り拳を作りながら顔を上げた。

 

(だから、そんなに気合いを入れなくても大丈夫だって)

俺は思わず笑ってしまいそうになった。

 

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