Calling 第9話 そろそろ…… -3-

 

 

久しぶりに一人で帰る道はなんだか長く感じて、電車の中もとても退屈だった。

家に着いてからもなんか物足りないというか、寂しいというか……。

 

そんなだから夕飯の後、自分の部屋でボーッとしていたから携帯が鳴っている事にも

しばらく気が付かなかった。

 

……RRRRR、RRRRR……――、

 

「はいっ」

散々鳴っていたと思われる着信音がやっと俺の耳に届き、慌てて飛び起きて携帯に出た。

 

『ごめん、寝てた?』

携帯の向こうから申し訳なさそうなシゲの声がした。

 

「あ、いや、ボーッとしてた。どうしたんだ?」

 

『それがさー、今日、鈴と二人で帰ったんだけどー』

 

「うん?」

シゲの声が明るくなり、きっと小峯と何か進展があったんだな……と、直感した。

 

『手、繋いだ♪』

 

「おー、よかったじゃん」

 

『めっちゃ緊張してさー、ドキドキしたよ』

 

「あはは、でもちゃんと進展したんなら俺らも放って帰った甲斐があったよ」

 

『うん』

シゲはちょっと照れたように笑った。

 

俺はちょっと胸がチクッとした。

小峯と手を繋いだだけで嬉しくてわざわざ俺に電話をしてきた事を考えると、

キスした後はもっとテンション高いんだろうな。

 

でも、俺はその話を今みたいに平静を装って聞いてやれるだろうか――?

 

「てか、手を繋いだって事は小峰の方もシゲに心を開き始めたって事じゃないか?」

 

『いや、それがー……実は、俺が一方的に無言で鈴の手の甲を上から握ったというか……、

 厳密に言うと手を繋いだと言うよりは……』

 

「そ、それって、つまりは何の前触れも無く小峰を“捕獲”した様な感じ?」

 

『うん……』

 

「その様子じゃ、会話もまだ成り立ってないっぽいな……?」

 

『うん……』

 

俺はシゲの答えにホッとしているのが自分でもわかった。

 

“親友の恋を応援してやりたい自分”と“そうじゃない自分”

 

「……でも、さ……、明日はきっと普通に手を繋ぐ事、出来ると思うぞ?」

それでも口では相変わらずこんな事を言っている俺は、きっと“偽善者”だ――。

 

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