HERO −特別番外編・取られてたまるかっ! 1−

 

 

俺・窪田遼太郎は昨日、親友の相葉貴教に

無理矢理連れて行かれた合コンでずっと片想いしていた

女の子に会った。

そして今日はその女の子と、その子の親友でタカの従兄弟でもある

栗田アキちゃんと一緒にホタル祭りに来ている。

 

「あ、窪田くんっ。」

ホタル祭りが行われる会場の川辺を歩いていると、

目の前に3人組みの女の子達が現れた。

 

・・・げっ!

会いたくない奴に見つかっちゃったな・・・。

 

その3人組みの女の子の一人が俺に駆け寄ってきた。

 

「ねぇ、私達も一緒にいい?」

そしてその女の子・・・以前、俺が痴漢野郎から助けた

深山静香はにっこりと笑った。

 

「いいんじゃね?」

俺が言葉に詰まっていると、軽くそう答えたのは

坂本さんと一緒に前を歩いていたタカだった。

そしてタカは俺の方に視線を向けてニヤリと笑った。

 

「・・・。」

俺はちらりと坂本さんを見た。

すると、坂本さんはまるで俺達の事なんて

気にしていないかのように別の方向を向いていた。

 

「・・・。」

 

深山静香と他の二人の女の子は俺が何も言わないのをいい事に

すでに隣に並んで歩いていた。

栗田さんはそんな深山さん達にはじき出されたのか、

少し後ろを歩いている。

 

 

「きゃっ・・・!?」

ため息混じりに歩いていると、坂本さんの声が聞こえた。

咄嗟に坂本さんの方に目を向けると、石かなんかに躓いたところを

タカが抱きかかえるように支えている所だった。

 

よりにもよって嫌な場面見ちゃったな・・・。

 

俺はすぐに目を逸らした。

 

おもしろくねぇ・・・。

 

 

その後もずっと深山さん達は喋りっぱなしだった。

 

この子といるといつもこれなんだよなぁ・・・。

 

痴漢から助けた次の日からずっと電車が一緒になって、

しかも車両まで一緒だったおかげで毎朝話しかけられるハメになった。

それでも、少し離れたところにいる坂本さんの姿が見えるから

なんとか我慢して電車も車両も変えなかった。

だけどそれから数日して坂本さんの姿が見えなくなった。

 

最初は電車の時間を変えたのかと思った。

だから数日間、その前後の電車に乗ってみた。

だけど彼女は乗っていなかった。

そしてもう会えないのかと思って諦めかけた時、

いつもの電車の違う車両に彼女の姿を見つけた。

俺は慌ててその車両に飛び乗った。

 

やっと会えた・・・っ!

 

こうして俺はまた彼女と同じ車両に乗るようになった。

と、同時に深山さんからも解放され、ホッとした。

 

それなのに・・・

タカのおかげでまたこの地獄・・・。

 

タカの奴は相変わらずなんだか坂本さんと楽しそうに話している。

掌の上にホタルを乗せてそれを二人で笑いながら眺めている。

 

マズい・・・

このままだと本当に坂本さんをタカに取られてしまう。

 

 

―――次の日。

俺は花火大会の日程を調べた。

もちろん坂本さんを誘う為。

 

だけど肝心の坂本さんの携帯番号を俺は知らない。

一昨日も昨日も、結局聞けず仕舞いだったからだ。

 

タカに聞いても絶対教えてくれそうにないしなぁ・・・。

 

そんなワケで俺は栗田さんに電話をした。

 

「もしもし、窪田だけど。」

 

『あらー、窪田くんからかけてくるなんてどうしたの?』

 

「あのさ・・・栗田さん達の学校って、登校日いつ?」

 

『登校日?、8月3日だけど?』

 

「その日って坂本さんも来るよね?」

 

『うん、来るよ?どうしたの?』

 

「あー、いやー・・・ちょっと坂本さんに連絡取りたくて。」

 

『ははーん、さてはタカの奴が璃桜の携帯教えてくれなかったんでしょ?』

 

「ん、まぁ、どーせ教えてくれないと思って聞いてないんだけどね。」

 

『あはは、なるほど。そういう事なら璃桜の携帯教えようか?

 もちろん、璃桜にはちゃんと教えてもいいか聞いてからになるけど。』

 

「あ、いや、いい。登校日の時に待ち伏せして直接聞くから。」

 

『璃桜をデートにでも誘う気?』

栗田さんはクススク笑いながら言った。

 

「うん、花火大会に誘おうかと思って。」

 

『へぇ、いいじゃん。それっていつ?』

 

「8月4日、登校日の次の日。」

 

『あー、それならグッドタイミングかもっ。』

 

「なんで?」

 

『この日はうちの親族が集まることになってて、

 タカも来るはずだから邪魔が入らないよ。』

 

「マジで?」

 

『後はうまく璃桜を誘えばOK!私も協力するから。』

 

「ホント?ありがとう。」

 

『うん。じゃ、3日の日に。・・・あ、そーだ、3日は授業ないから

 お昼前には学校を出られると思うけど、万が一ニアミスしたら

 電話するから。』

 

「うん、わかった。それじゃ。」

 

 

電話を切った後、俺はさっそくデートプランを練った。

 



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