言葉のかわりに−第一章・11−

 

 

ライブが終わった後、楽屋で一息つく。

この気だるさがまた気持ちよかったりする。

Kazumaから和磨に戻る瞬間でもある。

外がざわついてきた。

おそらくファンの子達が出待ちをしているのだろう。

(神崎さんは、もう帰ったんだろうな・・・。)

そんな事を思い、和磨はタオルでワシワシと頭を乱暴に拭いた。

着替えを済まし、機材を片付けるためステージに向かう。

30分前まで自分が立っていたステージ。

彼女はステージに立つ自分をちゃんと見てくれていただろうか?

どう思っただろうか?

・・・ん?

何でそんな事が気になるのだろう?

自分でもよくわからなかった・・・。

 

和磨が楽屋から外へ出たとき、かなりの人だかりが出来ていた。

人だかりの向こうに二人組の女の子がいた。

和磨にはその二人組が誰だかすぐにわかった。

丁度、唯と香奈が歩き出すところだった。

「神崎さ・・・」

呼び止めようとしたが黄色い歓声に遮られた。

どんどん遠ざかっていく後姿。

和磨はその後姿をただ見つめる事しかできなかった。

 

その後、メンバーと反省会を兼ねて打ち上げをしている最中も、和磨は携帯が気になって仕方がない。

彼女から連絡もなく、自分からも出来ないでいた。

自宅に帰ると日付が変わろうとしていた時間だった。

(さすがにこの時間に掛けるのはまずいよな・・・。)

ベッドに身を投げ出し、目を閉じた。

携帯を握り締めたまま和磨は眠りへと吸い込まれていった。

 

次の日の日曜日、昼近くまで目が覚めなかった。

目が覚めてからすぐに携帯をチェックしても彼女から電話もメールも来ていなかった。

和磨はもやもやした気分になった。

(なんなんだ・・・。この気持ち・・・。)

よくわからないまま、意を決して彼女に電話する。

しかし、電話の向こうで機械的に対応する音声が聞こえてきた。

『お客様のお掛けになった番号は、現在電波の届かない場所か、電源が・・・』

途中まで聞いて電話を切る。

(どこか地下にでもいるのか・・・?)

その後、何回か時間をおいて掛けなおしたが結局その日は彼女と連絡はとれなかった。

 

月曜日になり放課後、拓未に誘われファーストフードで他愛もない話をしていた。

すると、香奈がやってきた。

いつの間に呼び出したのだろう・・・。

香奈の後ろから彼女もついてきていた。

 



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