言葉のかわりに−第一章・18−
「んで?話ってなんだ?」
俺はおおよその察しはついていた。
「神崎さんのことだけど・・・。」
(やっぱそれかよ・・・。)
思ったとおりだ。
「神崎さんがどうかした?」
「つきあってんの?」
「はぁ?」
「だから・・・神崎さんと篠原。つきあってんの?」
岡本は少しイラついた声で睨みつけてきた。
「なんでそんな事聞くんだ?」
なるべく余裕をかまして聞き返す。
「こっちが先に質問してんだけど。」
「そんな事おまえに関係ないと思うけど?」
つきあっていないとはすぐには答えたくなかった。
「なに?」
「俺と神崎さんがつきあってるかどうかなんて、お前には関係ない。」
「ある。」
「なぜ?」
(まぁ・・・ないワケないよな・・・。)
「・・・。」
岡本は黙り込んでしまった。
「話は終わりなら戻らせてもらうぞ。」
俺は岡本に背を向けた。
「・・・おととい・・・神崎さんに、告白したんだ。」
俺はゆっくり振り返る。
少し驚いたフリをして。
「だけど今朝、僕とは付き合えないって言われた。」
(え・・・。)
俺はものすごくホッとし、それを悟られないようにした。
「ふーん。で?なんで俺なんだ?」
「昨日、おまえと神崎さんが一緒の傘にはいって帰るところを見たんだ。」
「それで?」
「それで・・・もしかして、おまえと付き合ってるのかと思って。」
「なるほど・・・。」
(まぁ、そう思わせるようにしたんだけどな・・・。)
このまま誤解させておくのもいいと思った。
けど、彼女にいらぬ迷惑がかかるかもしれない。
「付き合ってねぇよ。」
「え?」
「昨日はたまたま。」
これ以上説明するのも面倒くさい。
「そう、か・・・。」
岡本はなんだかビミョーな顔をしていた。
いっそのこと俺と付き合っているから断られた・・・、
そう確信できたほうが良かったのかもしれない。
「んじゃ、俺戻るわ。」
そう言って岡本に背を向けて歩き出す。
「悪かったな・・・勝手に勘違いして呼び出したりして・・・。」
最初の睨みつけてきた勢いとは裏腹にバツが悪そうに俺の背中に向かって言う。
俺は背を向けたまま「気にしてねぇから。」とだけ答えた
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