言葉のかわりに−第二章・2−
HRが終わった後、和磨達Juliusのメンバーは生徒会室にいた。
文化祭実行委員会の会長に呼び出されたのだ。
「すみません、急にお呼びして。」
2年8組の佐々木悠子。
生徒会の会長である。
文化祭実行委員会と言っても実は生徒会の人間が兼任している。
なので、文化祭実行委員会の会長も彼女だ。
黒縁の眼鏡をかけた、いかにもインテリな感じの女の子だ。
「それで、さっそくなんですが・・・まずこちらに目を通して下さい。」
悠子は数枚の書類をリーダーである拓未に手渡した。
文化祭の企画書だ。
今年はどうやら、学校内のバンドを集めて野外ライブをするらしい。
出演バンドのトリ候補にJuliusがあがっている。
「他のバンドについてはまだエントリー待ちですが、
ぜひJuliusの皆さんにトリをお願いしたいのですが・・・。」
そう言って悠子はじっと拓未を見据えた。
「なんでまた俺らなの?」
学校内のバンドなら他にもいるだろう・・・拓未はそう言いたげな顔で
書類から悠子に視線を移した。
「それはJuliusの皆さんが人気があると評判なので、
出て頂けるのでしたら人が集めやすいかと・・・。」
「ようするに俺らは“客寄せパンダ”ってことね?」
拓未は苦笑いした。
「ぶっちゃけ、そうです。」
悠子はしれっとした顔で言うと、
「・・・で、どうですか?出て頂けますか?」
と返事を聞いてきた。
「まぁ、ライブをやらせてもらえるのは嬉しいし、俺は断る理由が見つからん。」
拓未はそう言って他のメンバーの反応を待った。
「んー、俺も断る理由がないな。」
「俺もない。」
准も智也も同じ意見だ。
「・・・俺も一緒。」
黙っていた和磨もようやく口を開いた。
「それでは出演決定でよろしいですか?」
悠子は拓未に最終確認をとった。
「うん、いいよ。」
「ありがとうございます。では、その書類は差し上げますので、
お持ちになっててください。」
「ん。」
「また、何かありましたらその都度ご連絡します。」
そう言って悠子は静かに立ち上がった。
「じゃ、よろしく。」
拓未もそう言って立ち上がり、他のメンバーと生徒会室を後にした。
Juliusのメンバーは緊急ミーティングのため、
四人でファーストフードに向かっていた。
和磨はその途中で、一緒に帰る約束をしていた唯に
緊急ミーティングがはいったとメールを打っていた。
すると、唯のほうからメールがきた。
唯からの電話とメールは着信音を変えてあるのですぐにわかる。
もちろん、こんなマメなことは以前はやっていなかった。
和磨は打っていたメールを中断し、唯からのメールを開いた。
−−−
香奈たちと緊急ミーティングすることになったので
先に帰るね。
詳しいことは後で・・・
ごめんね。
−−−
(緊急ミーティング?)
(しかも上木さんたちって・・・?)
そう思っていると、拓未にも香奈から同じ様な内容のメールが届いたのか、
「おい、和磨。香奈と唯ちゃん、なんかやってんのか?」
怪訝な顔をしながら聞いてきた。
「いや、知らん。」
和磨にもさっぱりわからない。
「まぁ、急になんかやることになったのかもな。」
そう言って拓未はメールの返事を打ち始めた。
和磨も唯にメールの返事を打つ。
−−−
こっちも緊急ミーティングがはいったから
気にしなくていいよ。
−−−
送信ボタンを押してメールを返した後、ちょうどファーストフードについた。
店内にはいると唯と香奈、他に三人女の子がいた。
(ここでやってたのか。)
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