言葉のかわりに−第一章・7−
次の日の朝、唯は和磨と拓未に挟まれ歩いていた。
昨日の帰りにまた四人でファーストフードに寄ったときに拓未から
「唯ちゃん!俺も明日から一緒に行っていい?」と聞かれ、
唯が返事をするより先に香奈が、
「えーっ!拓未くんも一緒?マジ?いいに決まってるじゃん!
もちろん全然OKよ!ね、唯?」
と言い、断る理由も特になく香奈がファンだと言うこともあって成り行き上、こうなった。
香奈の家に着くと、丁度香奈が玄関から出てきた。
「おっはよ!」
満面の笑みで手を振りながら香奈が近づいてきた。
「おはよう。」
(今日は寝坊しなかったんだな。)
和磨が苦笑しながら言う。
「おぅ!おはよ!」
拓未も軽く手を上げ、香奈に笑いかける。
「おはよー。香奈・・・ど、どうしたの?珍しい・・・。」
唯はキョトンとしている。
「だって拓未くんと登校できるんだよー?」
そう言いながら拓未の隣に行く。
「雪が降る・・・。」
「ん?なんか言った?」
「いや、なんでもない。」
和磨と拓未はそんな二人のやりとりを笑いながら見ていた。
こうして朝と帰り、“周りから見ればダブルデートの図”は一週間繰り返された。
学校からの帰り道いつものように四人でファーストフードに入った。
「唯、足もう完治した感じ?痛くない?」
「うん、もう全然平気、みんなありがとね。」
「いやいや、俺なんもしてねぇし。」
拓未が笑いながら答える。
「俺達にくっついてただけだもんな。」
和磨がすかさず突っ込みを入れた。
すると唯は少し言いにくそうに
「えと・・・だからそのー・・・明日から送り迎えは・・・大丈夫だから・・・。」
怪我も無事完治したし、朝も大変だろうから・・・と続けた。
(女子生徒たちの視線もすごいし・・・。)
香奈もさすがに朝起きるのが辛くなってきたのか反対もしないで聞いている。
「うん、わかった。」
和磨はこれ以上は唯にとって迷惑なのだろうと思い承諾した。
「唯ちゃんがそう言うなら。」
と拓未も頷いた。
「ホントにありがとう。」
唯は和磨達にぺこりと頭を下げた。
「何言ってんだよ。俺が怪我させたんだから・・・。」
「そうそう。唯ちゃんは気にしなくていいの。」
「まあまあ、それよりさライブって今週末だよね?」
暗くなりかけた空気を察知し、香奈がライブの話題に話を変えた。
そのおかげで話は盛り上がった。
和磨は唯と香奈にライブのチケットを渡し、
「今回は俺が二人を招待。」
と微笑んだ。
「・・・え?いいの?」
唯は少し驚きながら和磨を見上げた。
「うん。・・・だから絶対来て?」
和磨の瞳が意外にも真剣で思わず唯はコクンと頷いてしまった。
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