Calling 第18話 何の話? -1-

 

 

「おっはよ♪」

翌朝、教室に入るとやけに織田ちゃんがにやにやしていた。

 

「うぃーす」

「昨日はお疲れー」

「あー、うん……て、コラ」

「ん? 何?」

「『何?』じゃねぇだろ。なんだあの“仕込み”は」

「えー、別に仕込んでなんかないのにぃー」

「嘘を吐け」

「で? 鈴ちゃんのハートにシュートは決められた?」

「はぁ〜っ!?」

(朝っぱらから何の話だよ?)

 

「まさか、あたしが回したパスをスルーしちゃったワケ?」

「だから、一体何の話だよ?」

「イズミと鈴ちゃんの話」

「まったくもって意味がわからん……」

「イズミって意外と鈍感なのねー?」

「……」

(そうなのか? いやいやいや、違うだろっ)

 

「なんかさー……こんな近くにいるのに全然眼中にないみたいだし、

 振り向いて貰えなさそうだから諦める事にした」

 

「え? 何が?」

 

「それに、あの子可愛いし」

 

「おーい、俺の声聞こえてますかぁ〜?」

 

「あの子が好きなのは別の人だって言ったりして、意地悪もしちゃったし」

 

「……」

もう突っ込む気にもなれなかった。

きっと今は俺が何を言っても無駄だろう。

 

 

「そろそろ受験体勢に入らなきゃいけないし、気持ちの整理をきっちりつけようかなーっと思って」

織田ちゃんはまだなんか喋っていた。

しかし、相変わらず俺には何の話か、誰の話なのかわからない。

 

「でもねー、二人とも周りに気を遣ってなかなか自分の気持ちを素直に言わないんだよねー。

 昨日だってあの子、ずっとハンカチを握り締めたまま見つめてただけだし」

 

(昨日?)

 

「夏休みが終わったらもう部活も引退だしねー」

 

(あー、そうか……てことは、テニスコートにボールを取りに行くっていう常套手段も

 使えなくなるな)

 

「だからその前にくっつけちゃおうと思ったのに」

 

「……誰を?」

 

「わかんない?」

 

「まったく」

 

「あ……そう」

織田ちゃんはそう言うと軽く溜め息を吐いた。

 

「誰の事か言おうと思ったけど、やーめた」

「なんでっ?」

「イズミのその鈍感さ加減がもうちょっとマシになったら言う」

「あー?」

(なんだよ、それ?)

 

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