Calling 第17話 陰謀 -3-

 

 

「イズミ」

試合が終わってシゲ達と一緒に控室から出ると、織田ちゃんが外で待っていた。

 

「おぅ、ホントに応援来てくれてたんだ?」

 

「うん」

 

「一人?」

 

「ううん、後輩一人連れて来た。ねぇ、ところで今日はみんなと一緒に帰るの?」

 

「いや、反省会は明日やるし、今日はもう解散」

 

「じゃあ、一緒に帰ろうよ」

 

「いいけど、おまえ、後輩はどうするんだよ?」

織田ちゃんの傍には後輩らしき子がいない。

先に帰ったのか? と、思っていると織田ちゃんがとんでもない事を言い出した。

 

「イズミ、迎えに行って来て?」

「はぁっ!?」

「五番ゲートを入ってすぐの観客席にいるから」

「なんで、俺がっ?」

「あたしは高津君達と先にスタジアムの外に出てるからー」

織田ちゃんはそう言うとシゲと一緒にスタスタと歩き始めた。

 

「おいっ、こら、ちょっと……!」

「あたしの“可愛い後輩ちゃん”が待ちくたびれて帰っちゃう前に早く迎えに行ってねー♪」

俺の声に振り返る事もせず、織田ちゃんは手をひらんひらんと振りながら見えなくなっていった。

 

(“可愛い後輩ちゃん”と言うなら、何故自分で迎えに行かない?)

「まったく、意味がわからん……」

俺は仕方なく五番ゲートに向かった。

 

 

五番ゲートを抜けるとすぐに一人の女の子の姿が目に入った。

髪の長い、あまり背も高くなさそうな子で誰かを待っているのか観客席に一人で座っている。

 

(あの子かな?)

俺はゆっくりその子に近づいた。

そして後姿から徐々に横顔が見えてきて、それは小峯だと気が付いた。

 

「小峯?」

 

「……せ、先輩っ!?」

小峯は俺の声に気付き、視線を向けるととても驚いた顔で俺を見上げた。

 

「こんなところで何してんだ?」

 

「あ、はい。えっと……織田先輩にここで待ってるように言われて……」

 

「織田ちゃん?」

(じゃあ、織田ちゃんが連れて来た後輩って……)

 

「あの……織田先輩見てませんよね?」

 

「いや、俺、織田ちゃんに言われておまえを迎えに来たんだけどー」

 

「ほぇ?」

小峯はキョトン顔でヘンな声を出した。

 

それが可笑しくて俺はつい噴き出してしまった。

(確かに“可愛い後輩ちゃん”だな)

「織田ちゃんに後輩を迎えに行ってくれって言われてさ、まさか小峯だとは思わなかった」

 

「そうでしたか。あの、それで織田先輩は……?」

 

「先にスタジアムの外で待っ……」

……RRR、RRR……

小峯に事情を説明しているとポケットの中で数回着信音が鳴った。

メールだ。

 

−−−−−

このまま高津君と帰るね。

イズミは鈴ちゃんを

連れて帰ってね♪

よろしくー( ̄ー ̄)ノ

−−−−−

 

織田ちゃんからだった。

 

(……ハメられた)

「……」

 

「先輩、どうかしました?」

 

「ん? あー、なんでもない。てか、織田ちゃんからメールだった。

 このまま俺達二人で帰れってさ」

 

「えっ!?」

 

「ほら、コレ」

俺はたった今来た織田ちゃんからのメールを見せた。

 

「つーか、この顔文字なんかムカつくなー」

……なーんて、ホントはかなり嬉しかった。

まさか小峯が応援に来てくれているとは思わなかったし、まんまと織田ちゃんの“陰謀”に

ハメられたワケだけど久しぶりに彼女と二人きりになれたんだから。

 

HOME
INDEX
BACK
NEXT