Calling 第45話 Calling -1-
私と和泉沢先輩が手を繋いで歩いていると、途中で“第二ボタンコレクター”の人達が
卒業証書を持っている男子生徒に声を掛けているのを何度か見掛けた。
だけど、先輩にはもう声を掛けて来ない。
胸元を見ても第二ボタンがなくなっているのが一目瞭然だからだ。
「あっちは周りが騒がしいから、こっちの店に入ろう」
駅前に着くと、和泉沢先輩はいつものファーストフードを指差して苦笑いすると、
その隣にある喫茶店に入り、一番奥にあるL字型のソファーに腰を掛けた。
喫茶店の中はすごく静かで隣のファーストフードとは客層が全然違っていた。
「ハァー……」
和泉沢先輩は少しの沈黙の後、徐に溜め息をつき、膝の上に置いていた私の手を握った。
「?」
私は思わずハッとして顔をあげた。
「やっぱ、今から卒業証書、返してこようかなー?」
すると、先輩は頬杖を付きながら私の顔をじっと見た。
「え……」
「自主留年」
「も、もぅ〜、先輩何言ってるんですかー」
「だって、やっぱり鈴と離れたくないもん」
頬を膨らませて拗ねたように言った先輩の顔がすごく可愛かった。
だから、今の今まで第二ボタンの事で拗ねていた私もつい笑ってしまった。
「そんな事言って、大学はどうするんですか?」
「来年また受ける」
「そしたら、またもう一年受験生ですよ?」
「う……」