Calling 第17話 陰謀 -2-

 

 

「イズミ、スタメンだって言ってたよ」

そう織田先輩が言ったとおり、和泉沢先輩はスタメンの輪の中にいた。

顧問兼監督の小川先生の指示を他の部員達と聞いている。

 

もうすぐ、キックオフ……

 

(和泉沢先輩、頑張って……っ!)

 

 

それから間もなくして主審のホイッスルがスタジアム全体に鳴り響き、キックオフ。

試合が始まった。

 

白いシャツに紺のラインと紺のパンツ。

背番号10。

私はその人を必死で目で追いかけていた。

サッカーのルールとか全然よくわからないけれど、和泉沢先輩にパスが回される度、

私はぎゅっと両手を握った。

おかげで手に持っているハンカチはもう汗が滲んでいた。

 

「行けーっ! イズミ、そこ!」

隣に座っている織田先輩は私とは対照的に大声を出していた。

 

(私もこんな風に思いっきり応援出来たら……)

織田先輩の手前、私が和泉沢先輩の応援をする訳にはいかない。

だって、織田先輩が好きなのは和泉沢先輩だから……。

それに私の元彼・高津先輩に私が和泉沢先輩の応援をしていたのが耳に入ってしまったら

和泉沢先輩に迷惑が掛かるかもしれない。

 

だから、あんな風に大声で好きな人の事を応援出来る織田先輩が羨ましかった――。

 

 

     ◆  ◆  ◆

 

 

ピッピッピーーッ……――、

 

試合終了を告げるホイッスルが鳴り響き、フィールド上にいた選手の動きが止まった。

 

2 vs 1

 

一点差でうちの高校が勝った。

二点のうち一点は前半に高津先輩が決め、後の一点は和泉沢先輩が後半でゴールを決めた。

 

 

フィールドにいる和泉沢先輩は相手チームに一礼をしてコートを出ると、

笑顔で小川先生と控えの選手達に駆け寄っていった。

 

――キュン……

 

きらきらして光ってさえいるその笑顔にキュンときた。

試合中の真剣な顔やゴールが決まった瞬間の笑顔や声も……全部。

 

でも、その笑顔が私だけに向けられることはない――。

 

 

そして、試合を見に来ていた人が帰り始めた頃――、

「鈴ちゃん、あたし知り合いがあっちにいたからちょっと話してくるね。ここで待っててくれる?」

そう言って織田先輩が立ち上がった。

 

「はい」

 

織田先輩は小走りで通路の階段を昇るとあっという間に見えなくなった。

 

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